勢いを増す中国の科学技術力を徹底解説!【科研費・特許・製薬業界の市場】

レビュー

こんばんは。国内製薬企業勤務の酔っ払い化学者と申す。

あなたの知的好奇心をびしばし刺激する情報を発信してゆく!

好きなビールはよなよなエール!

本日のテーマは【中国の科学技術力】だ!

いきなりだが、中国の科学力に対しどのようなイメージを持っているだろうか?

私はちょっと前までは「ええ委託先やな~」くらいの感覚だった。というのも、中国は人件費が安く現地の中国人を大量に雇い「これやっとけや~」みたいな事を日本の大手製薬企業や世界のメガファーマは結構やっているからだ。

なので、非常に悪い言い方をすれば「俺たち頭脳で、彼らは手先!」みたいな感覚はあった。大手製薬企業の研究者は同じような感覚を持ってるかもしれない。

ということで世間の感覚を確かめるべく、ツイッターでアンケートを取ってみた。結果は下記の通り。さすが私のフォロワーさん!世の情勢を正確に把握している様だ。

先に結論を言うと、このアンケート結果は概ね正しそうだ。近年中国は凄まじい勢いで科学力を増しており、様々な分野で米国に次いで世界2位となっている。また、分野によっては米国を抜いて世界トップに躍り出ている。

この記事では、中国の科学技術の近年の成長っぷりを色んな角度から(可能な限りハイテンションで!!!)説明していく!!!中国凄いよ!!!ファーウェイ!!!

目次

  1. 科研費から見る中国の科学力!
  2. 特許数から見る中国の科学力!【CRISPR・AI・がん免疫療法】
  3. 政策市場から見る中国の製薬業界!【規制緩和/中国市場へのメガファーマの参入】
  4. 急成長する中国の製薬メーカー!【カンブリア紀の様な上海開発区:1000社以上がひしめく
  5. 全体のまとめ

科研費から見る中国の科学力!

まずはお財布事情を見ていこう!どんなに優れた研究者がいようとも金がなければ研究はできない!

下記のグラフは総務省統計局が 2019年5月に纏めた「統計でみる日本の科学技術研究」より引用した!各国の研究費の推移を表している!

財務省統計局の「統計でみる日本の科学技術研究」より引用
科学者パライ
科学者パライ

あっ!なんか一人だけ変な動きしてる奴がいるっ!!!

中国
中国

ニーハオ!!!

なんかもう凄まじい勢いで伸びている。なんか変なもんでも食べたん!?くらいの勢いだ。アメリカは中国ほどではないにしろ普通に増えている!日本はビミョー!EU諸国もビミョー!

という訳で、中国は科学研究にめっちゃ金をかけている!

中国のこの勢い。ここには国を挙げた【意志】というか【覚悟】というか、なんというか明確なビジョンみたいなもんがある様だ。

中国は2016年3月に「今後の国の方針、どんな感じにする?」って話し合った結果「今後5年は、こうしたいよね」という内容を【第13次5カ年計画】という形で発表している。

その中で「科学技術は今後も一層やりまっせ!」と高らかに宣言している。具体的には2020年までに研究費への支出をGDPの2.5%までに引き上げる事を目標としているそうだ。因みに2017年時点では既に2.1%に達しており、更に伸ばすというのだから恐ろしい意志を感じる。アメリカを抜いて1位となる日も近いのではないか?もしくは既に抜いている?

基礎研究への予算も増えており、2011年から2016年の間の5年間で倍増している。基礎研究の重要性というのもしっかり認識している。

優先的に取り組む分野としては「海洋学、脳科学、幹細胞研究、環境保護、汚染対策」の5分野を挙げている。幹細胞研究に関しては、遺伝子改変ベイビーなど賛否両論産む内容が出てきているが、まぁ中国は独特の倫理観を持っているようだ。(誰が正しいなんてどうやったらわかる?正義はしばしば結果論にすぎないのだ)

結論:中国は国が掲げた明確なビジョンのもと、大金をかけて科学技術を必ずや発展させると決意している。

大学で適当に講義にでて、バイトして、研究室でぽわわ~んってしている日本の学生諸君!しっかりしたまえ!僕も頑張るからさ!

なお中国の第13次五カ年計画に関してはこちらの記事の内容を参考にした。

特許数から見る中国の科学力!【CRISPR・AI・がん免疫療法】

どや顔マン
どや顔マン

オッケー、中国が金かけてんのは分かった。でもさ、研究ってのはさ、そういうもんじゃねーじゃん?なんつーのかなぁ。【クリエイティビティ】ってゆーの?そーゆーもんが大事で、かけたお金に比例して【成果】が出るわけじゃ決してない、ぼかぁそう思うんだよね。

科学者パライ
科学者パライ

……誰だよお前。

まぁ確かにドや顔マンの言う通りだ。最も重要なのは成果だ。異論はない。というわけで実際に【成果】が出ているかを科学研究の成果のひとつの指標である【特許数】で見ていく。

どの分野の特許数で見よっかな、ってのはちょっと迷った。色々迷った結果、注目度が特に大きく、日本や米国など世界中の科学者もある程度注目している分野として下記3を選択した。

  • CRISPR-Cas9システム(遺伝子編集技術)
  • AI(人工知能)
  • がん免疫療法

大きく外していないとは思う。この三つは間違いなく今世紀の大きなイノベーションだ。

ここでは各技術の詳細は割愛する。ここで重要なのは、この3つの研究分野は全世界で競争が激しい分野で、この分野で特許数を出しまくってたら、そりゃその国の科学力は結構凄いかもね?という結論に至っても良いだろう、という事だ。

という訳で、この主要な3つの領域に対して中国どやねん?ってのを見ていくぞ!!!

CRISPRの特許数:1位は米国、2位は中国、日本は5位(2019年時点)

主要な科学研究分野の特許数に関しては、特許庁が調査結果をレポートに纏め無料で公開していることが多い。特許庁のこうしたレポートはマクロな視点で科学研究を眺めるのに非常に有益なので、研究者はちょいちょい目を通すのをおススメする。

CRISPRに関しても平成29年度に特許庁からレポートが出ているが、やや情報が古いのでここでは参考にしない。

代わりに2019年6月のNature Biotechnologyの報告を参考とする。CRISPRに関する特許の出願国別の調査結果が纏められており、多分これが最新情報だ。

上記の論文を読むには購読手続きが必要だが、こちらのAgnes Ricrochさんの記事で大体は内容を取ることが出来る。

さて、結論を見に行こう!下記はCRISPRに関する特許数の国別の総数を示すグラフだっ!

ばばんっ!

Nature Biotechnologyのこちらの報告より図を引用。
科学者パライ
科学者パライ

あああ!中国が2位だ!ああああああ!!!

中国
中国

ショーロンポウ!

どや顔マン
どや顔マン

ああああああ!!!

結果でてた。クリエイティビティが駄々洩れ。しかも2017/5/31以降の特許は米国よりも中国が多い(網掛けの部分ね)。今後中国が1番に躍り出る可能性は大いにありそうだ。日本は韓国に続いて5番…

***

こうした一連の情報を収集し一つの記事にしていく過程で、私はこの国の将来を大いに憂いた。私は日本が好きだ。特に明治維新の頃が好きだ。未熟でありながらもいじけることなく誇りを高く持ち、ただひたむきに異国から学び、あっという間に列強に比肩するほど日本を強くした。あのチョンマゲ達。彼らが好きだ。

それ故に今の現状は悲しい。なんだ。なんなんだ。

***

…では気を取り直して、続きもハイテンションで行くよ!

CRISPR関連の特許で中国が凄い勢いで伸びてきていることは分かった。ところで、CRISPR関連の特許と一言で言ってもその用途は様々だ。先のNature Biotechnologyの報告では用途別の解析もされており、私もその内容に関してツイートしたりした。

ここでは詳細は割愛し、概略だけを述べよう。

CRISPRの特許の内訳をみると、技術の改良などに関する特許は依然として米国がトップであり、農業・産業への応用に関する特許は既に中国が米国を抜いてトップとなっている。

……私見だが、国民性が見えるような気がする。産業応用にはやや慎重で、技術をブラッシュアップしている米国と、使えるんならガンガン使おうぜ!という中国(どちらが良いのかなど誰にわかる?)

結論:中国はCRISPR分野で飛躍的な成長を遂げており、CRISPR関連の特許数は2019年時点で米国についで二位である。農業・産業への応用に関する特許が多い。遺伝子編集ベビーなどやや倫理的にグレーな部分もあるが、科学力は本物だろう。

つぎ!AI!

AIの特許数:中国の特許数は飛躍的に増加。米国を抜いて世界1位へ

特許庁がAI関連発明の特許出願状況調査をレポートとして纏めている。見ていて大変楽しい。

今回は触れないが、AI特許数のここ数年の推移や、特許の内訳などが知れるのでとても面白い。参照を推奨。あ、韻を踏んでしまった。

ラッパー
ラッパー

Hey Yo!今宵も、俺様参上!憂いている、日本の現状!真実(リアル)を知りたきゃ、参照を推奨!(特許庁のレポートはこちら!読めYO!)

……さて、気になる国別のAI関連特許数の推移はこちら!ばばんっ!

特許庁のAI関連発明の出願状況調査より図は抜粋
科学者パライ
科学者パライ

あー中国(CN)がー!!!あぁー!やめろー!日本どこ!?

どや顔マン
どや顔マン

……

中国
中国

チンジャオロース!!!

中国は飛躍している。特に2015年から2016年の飛躍は凄い。米国の2011年~2015年までの成長数を中国は1年で達成している。この飛躍を達成する為にどんな取り組みがあったのだろう?非常に興味深い。

ところで上記のグラフは2016年までだ。2019年時点はどうなっているか?もう既にアメリカ抜いてんじゃねえの?ってググってみると、抜いてた。下記の様な記事が出てきた。既にAI分野は中国が世界のトップに君臨したようだ。

【12月6日 Xinhua News】中国国家工業情報安全発展研究センターがこのほど、「人工知能(AI)中国特許技術分析報告」を発表し、中国のAI分野の特許出願件数は年々増加傾向にあり、出願件数ランキングではネット検索大手の百度(バイドゥ)が5712件でトップとなったことが分かった。

報告によると、今年10月時点で中国のAI特許出願件数は米国を抜いて首位となった。バイドゥ、騰訊控股(テンセント)、マイクロソフト、浪潮集団(インスパー)、華為技術(ファーウェイ)が特許出願件数の上位5位に名を連ね、バイドゥは他を引き離している。AI技術の分野別で見ると、バイドゥは深層学習や自然言語処理、音声、自動運転など各分野において、特許出願件数でも伸び率でも明らかに優位に立っている。

AFP BB NEWSより引用: https://www.afpbb.com/articles/-/3258339

日本はどこだ?上位5位の企業にもいないし、特許数も大きく負けているし伸びてもいない。憂いてる、日本の現状…私たちもう技術大国ではないのかもしれない。そろそろしっかり現実を認識し、その上で課題解決に向けてしっかり対策を練るのが良いのだろう。

結論:中国はAI分野で飛躍的な成長を遂げ、AI関連の特許数は2019年時点で米国を抜き去り世界トップに躍り出た。バイドゥ、テンセント、インスパー、ファーウェイなど中国初のIT企業の台頭がその背景にある。特にバイドゥは他を引き離し、深層学習、自然言語処理、音声、自動運転など各分野において、特許出願件数でも伸び率でも優位に立っている。

次!免疫療法!つらい!頑張れ俺!

免疫療法の特許数:中国の米国・欧州に続いて3位。急速に成長している

がん免疫療法とは?がん細胞は体の免疫系を抑制し生き残ろうとする。がん免疫療法は、がん細胞による免疫系の抑制を解除する事で、免疫系ががんをやっつけられるようにする治療法だ。

この治療法の発見の功績が認められ2018年にJames P. Allison 教授(米国 MD アンダーソンがんセンター)、本庶 佑教授(京都大学大学院医学研究科・医学部)の 2 名に対しノーベル生理学・医学賞が授与されたことは記憶に新しいだろう。

という訳で、世界が注目しているがん免疫療法。世界中の研究機関、製薬企業が着目し、激しい競争を繰り広げている。ここに関して中国どやねん?ってのを見ていく。

この注目分野に関しても、特許庁が特許出願調査を行っている。こちらも大変ボリューミーで面白い。 世の中の動向がとっても良くわかる。

ラッパー
ラッパー

真実(リアル)を知りたきゃ、参照を推奨! 

この特許庁の報告書を非常に分かり易くAnswers Newsさんの記事が纏めている。

一文を引用させて頂く。

日本発の研究成果が切り開いたとも言えるこの分野ですが、日本は研究開発競争で世界に大きく水をあけられているのが現状です。特に近年、中国が急激に頭角を現しており、特許の出願件数や論文の発表数で日本を上回る成果を出しています。

特許庁が5月に公表した2018年度の特許出願技術動向調査報告書によると、がん免疫療法に関する特許のファミリー出願件数(日米欧中韓国その他への出願)は2002~16年に8645件。出願人の国籍を見てみると、米国籍が3555件(41.1%)、欧州国籍が2213件(25.6%)を占め、中国が1247件(14.4%)で米欧に次ぐ3位となりました。日本は671件(7.8%)と中国の半分以下にとどまります。

がん免疫療法に関する特許の出願は02年から11年まではゆるやかな減少傾向にありましたが、12年に増加に転じ、13年以降は急増。米国と欧州、そして中国による出願数の増加が、全体の出願数を押し上げています。

がん免疫療法、研究開発で中国が急速に台頭…特許出願・論文発表とも日本を上回る:AnswersNewsより引用

むっはー!ここでも中国が頭角を現している様だ!!!

上記の記事中に全体と各治療法ごとに国別の特許出願数が、非常に分かり易い図として纏められているので引用させて頂く。米国が未だ圧倒的だが、中国が徐々に頭角を現しつつある現状がわかる。

がん免疫療法、研究開発で中国が急速に台頭…特許出願・論文発表とも日本を上回る:AnswersNewsより引用

むっはー!!!中国は既に日本を抜いて3位だ!!!

……さて、特許レベルでは中国が頭角を現しつつあるのが解った。

しかしながら、がん免疫療法は「ガンを治すための治療法」なので、この分野の直近の成熟度を見るには、特許数よりも【開発パイプライン数】を見たほうが良いのかもしれない。

開発パイプライン数とは要は臨床試験を実施している数だ。この数が多ければ多いほど、実際の治療法として患者さんの健康に貢献できる確率が高まるので、パイプライン数を多く抱える国はがん免疫療法のトップを走っていると言って差し支えないだろう。

2019年に「がん免疫療法のパイプライン解析」に関する論文がNature Review Drug Discoveryに報告された。

この調査では2017~2019年にかけて①臨床パイプライン数の推移とその内訳②創薬標的の推移③本分野を主導している国の3点が解析されている。本記事では③に注目する。

ただ一部の知りたがり屋さんの為に①②に関しても簡単に説明。不要な人は下記のハイライト部分は読み飛ばしてね。

①臨床パイプライン数の推移とその内訳 :パイプライン数は2017年の2030個から、2019年には3876個へと増加。特に細胞療法が大幅に増加しており、後期臨床ステージでの絶対数が増えている。一方で、がん溶解性ウイルスは成長が小さい。

②創薬標的の推移:標的数は2017年の263個から2019年委は468個とほぼ倍増。2017年/2019年のTop 15標的を比較すると、10個の標的は共通で、新たに5個の標的は入れ替わっている。特にCD19, BCMAなどを標的とした試験がここ二年で増加した。CD19はPD1/PD-L1を抜いてトップに躍り出ている。CD19を標的とした試験は細胞療法が中心であり、①で細胞療法が伸びているのは、CD19への注目度と関連しているのかもね。各標的ごとにアプローチに特徴があるのも面白い。PD-1/ PD-L1/CTLA-4/IDO1はT細胞を標的として免疫療法が主。一方で、HER2/HPVなどはワクチンが主だったりする。

さて、おまたせ。では③がん免疫療法の国別パイプライン数の推移をみていく。

Immuno-oncology drug development goes global より引用

むっはー!!!米国が1位!中国は2位だ!

まず目を引くのは圧倒的なアメリカ。圧倒的という言葉がふさわしい。上記の解析では治療法の内訳も色別で示しているが、全体的にバランスよく圧倒的なパイプラインを有している。

中国は2位だ。むっは。よくよく見ると。全体的に細胞療法の占める割合が多いような気がする。なんなの?高額だったり品質管理だったり色々大変な細胞療法。ここに中国がリソースを突っ込んでいるのには何か理由あんの?

CRISPR・AIの事例で見たように、中国の恐ろしいのはその成長のスピードだろう。数年後、本分野での様子がどのように変わっているかはわからないが、科研費で見たように、お金をしっかりかけているところを見ると、中国が数年のうちに米欧を抜きさっても不思議はないだろう。

結論:中国はがん免疫療法の分野で飛躍的な成長を遂げ、特許数は2002~2016年時の間で米国と欧州に続いて3位。開発パイプライン数は米国に続いて2位。その内訳としては細胞療法の割合が多い様に見える。

これまで主要な研究領域における特許数のチャートを示してきたが、日本はいつも端で陰になっている。俺たちは一体、何をすべきだろう?問いただし謙虚になる事だ。学生諸君。頑張れ。俺も頑張る。みんなが何かしらのアクションを起こしてくれればこの記事を書いた価値があるというものだ。

政策・市場から見る中国の製薬業界!【規制緩和/中国市場へのメガファーマの参入】

さて、これまでの調査で、中国は科学研究にめっちゃお金かけてて、その結果が注目分野における特許数及びパイプライン数という形で花開いていることがわかった。

ここからはフォーカスを絞って【製薬業界】について見ていく。というのも著者のパライが製薬企業勤務だから気になっちゃうのだ。ここからも日本人にとっては耳の痛い内容が続くわけだが、ハイテンションで綴っていこう!しぇいっ!

以下の順番で解説していくよ!ラーメン!チャーハン!

  • 中国の市場規模の推移
  • 近年の中国政府の取り組み:「薬作りしやすい環境構築」

中国の市場規模の推移

まずは製薬業界における中国市場の推移を見てみよう!いきなり結論だが、中国市場は近年凄い勢いで伸びている。下記のグラフは2012年までのものだが、既に中国の市場規模は2018年時点で日本を追い越し米国に続いて世界で2位となっている。

中国医薬品市場の鍵を握るマーケットアクセス より引用

この中国市場の躍進の背景には「 所得向上による健康に対する意識の高まり」と「国民健康保険制度の普及」の二つがあるそうだ。中国、やっぱり豊かになってるみたい!

この様な魅力的な市場をメガファーマがほっておく訳がない。全てを列挙するのは(めんどいので)しないがメガファーマや、最近では国内の大手~中堅も中国市場へ次々と参入している。

いくつか参考になる記事を記載しておく。

ここら辺の記事を読めば、国内外の製薬企業の中国市場への参入の動きの大枠がつかめるだろう。だが、読まなくてもよい。読まなくてもよい様に、以下で大枠だけを纏めていく。ただし、固有の企業の具体的な動きを知りたければ記事を読んだほうが良いだろう。(どっちやねん!)

結論:中国が豊かになり保険制度が整備されるにつれ、中国における製薬業界の市場は年々拡大し、現在は米国に次いで2位である。メガファーマ・国内大手の製薬企業が次々に中国市場へ参入している。

製薬企業が次々と中国市場に参入しているのは、ただ単に中国市場が拡大しているからだけではない。中国政府が【薬づくりしやすい環境】を整えているのだ。魅力的な環境を整えて、メガファーマをどんどん呼び込んでいる。

近年の中国政府の取り組み:「薬作りしやすい環境つくり」

実は中国はもともとは創薬が非常にしにくい環境だった。 承認プロセスは複雑で、2016年までは先進国で認可された新薬の3分の1程度しか中国では認められていなかった。

ところが近年、中国政府はどんどん改革を進め、承認プロセスの簡略化に取り組んできた。その成果は既に出ている。2018年12月、アストラゼネカの糖尿病に伴う腎性貧血の次世代治療薬 「ロキサデュスタット」 は米国に先駆けて、世界で最初に中国で承認された。

これは歴史的なパラダイムシフトの瞬間だと私は捉えている。今ではあり得ない話だが、最初の承認取得は中国で!みたいな感じに今後なっていくのかもしれない。

さて、中国政府が具体的に進めている薬づくりしやすい環境づくりだが

  • 「中国における治験義務の廃止(2017)」※要は他国の治験結果を使えるという事
  • 「輸入医薬品28品目への関税撤廃(2018)」
  • 「特許保護期間の延長(2018)」
  • 「審査員を補充。優先審査制度の採用(2017)」
  • 「日米欧の品質管理基準を決める国際組織に加盟(2017)」

などなどここ数年で色々な対策を行っている。中国政府は産業育成策「中国製造2025」にバイオ医薬品を含めており、明確な国の方針の元、国内の新薬創出力を高めている。

また上記の中国政府が進めている改革以外の観点からも、中国で新薬の開発を行うことは結構メリットが多い。それは圧倒的な人口が提供する膨大なデータだ。

中国には人口13億人を超える膨大な医療データが存在する。また、希少疾患でもそこその患者数がいるので臨床試験がしやすい。希少疾患は現在の創薬のトレンドで、この知見がやり易いのは大きいと感じる。希少疾患の注目具合に関しては、最近の武田のシャイアー買収のニュースが記憶に新しい。

結論:中国では政府が様々な規制緩和や審査/特許制度を整え、創薬を行いやすい環境を整えている。また13億人を超える膨大なデータが存在し、現在の創薬のトレンドである希少疾患でも臨床試験を実施しやすい。

という感じで、中国政府はがんがん外資の製薬企業を国内に呼び込む、国家の健康レベルを高めようとしている。そして、外資だけでなく、中国自身の製薬企業自体も急成長している様だ。

急成長する中国の製薬メーカー!【カンブリア紀の様な上海開発区:1000社以上がひしめく】

中国の新薬メーカーは?と聞かれてもパッと浮かばない。巨大なCROは複数あるが、新薬メーカーはこれまであまり知られていないのだ。だがこれまで見てきたように、中国では科学研究に対ししっかりと投資が行われ、基礎研究が確立され、創薬環境も整ってきた。

やがて新薬メーカーが出てくるだろう。これまで見てきた内容から判断するに、それは必然だろう。

さて、その前兆ともいえる内容を示している記事を紹介する。

■上海開発区だけでバイオ企業1000社がひしめく

中国高額医薬品市場の急拡大は、中国製薬各社への投資でバブルも招いている。その様子を米コンサルティング大手マッキンゼー・アンド・カンパニーのフランク・ル・ドゥ氏は「まるで(様々な生物が出現した)カンブリア紀のようだ」と言う。ベンチャーキャピタル(VC)と未公開株に投資するファンドが中国のバイオ企業に投資した額は18年、約170億ドルに達したという。その多くは中国国内の資金だ。中国有数の規模を誇る産業開発区である上海張江ハイテク産業開発区のバイオ地区には、今や10年前の10倍に上る1000社以上がひしめく

急成長する中国製薬産業(The Economist) :日本経済新聞より引用

この多種多様な企業が現れ、たがて淘汰によって少数の企業が市場を独占してくという【パターン】は新興産業に共通してみられるパターンだ。

例えばアメリカの自動車産業創成期の1899年当時、路上の自動車は多種多様に満ちていた。なんと3台に1台が電気自動車だったというのだから驚きだ。やがて市場が勝者/敗者を選り分け、生き残ったGMやフォードといった少数の企業が市場を独占した。

インターネット・ブームの際にも同様のことが起こった。アマゾンのCEOジェフ・ベゾスはその様子をカンブリア紀の爆発的進化になぞらえた。

どや顔マン
どや顔マン

ちょっと今回のドゥ氏のコメントはベゾス氏と被ってるけど!たまたまだよね!

……要は何が言いたいかって言うと、中国で多様なバイオベンチャーが産まれまくってカンブリア紀さながらな状態は非常に良い兆候だということだ。

例えひとつひとつの企業はしょぼく取るに足らない存在であっても、見誤ってはいけない。

脅威なのはその多様性だ。

未来はわからない。従って、なるべく多様なチャレンジャーがいた方が良い。あらゆる方法が試され、淘汰によって勝ち残った企業、そいつはホンマに強いはずだ。

従って、あと~10年もしたら多くの屍の上にほんまもんの中国初新薬メーカーが爆誕するだろうと私は予測している。多分この予測はあっているだろう。その時、かれらの委託先が我々日本でないこと願うばかりだ。せめて対等なパートナーでありたい。

またこれは別の話だが、最近中国のGreen Valleyという製薬企業からアルツハイマー治療薬が中国国内で承認された。実に17年ぶりの快挙であった。

このAD治療薬に関しては腸内細菌を改善するというユニークな作用機序であり、また基礎レベルのメカニズム解明も非常にレベルが高いと感じた。詳細に関してはこちらの記事に纏めている→【速報】中国でアルツハイマー病の新薬承認:腸内細菌を改善するユニークな作用機序を解説!

この企業に関しては、過去になんかやらかしたとか、治験の結果に対してどうなん?って意見もあるのでまだ結論は出せないけど、まぁ話題にはなっとります。このAD治療薬の効果がホンマか否かに関しては大規模臨床試験の結果をまとう。

結論:中国の新薬メーカーは爆発的に増えており、上海張江ハイテク産業開発区のバイオ地区には、今や10年前の10倍に上る1000社以上がひしめく。やがて勝者と敗者が選択され、本物の中国初新薬メーカーが 登場するだろう。また、近年中国の製薬メーカーからAD治療薬の承認取得など徐々に話題となるニュースが出てきている。

全体のまとめ!

  • 中国は研究にめっちゃ金かけてて
  • 既に主要分野の特許数は世界トップレベルで
  • 製薬業界の市場規模は増えてて
  • 政府の規制緩和によって薬作りしやすい環境が整いつつ合って
  • メガファーマも中国市場にどんどん参入してて
  • 中国初の創薬ベンチャーも増えてきているよ!
科学者パライ
科学者パライ

日本頑張れ!学生諸君!頑張れ!実験しろ!論文読め!俺も頑張る!まじで頑張る!!!!俺たちはもはや科学大国ではないだろう。謙虚になる事だ!だが、ここからだ。ここから這い上がって伝説を作ろう。ピンチは常にチャンスだ。やりまくろうぜ!!!寿司!うどん!

コメント

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